【短編】黒板に、その2文字を
君に、その2文字を
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『先生っ!』
彼女が俺のことをそう呼ぶたびに。
自分の気持ちがいけない気持ちだと思い知らされてしまう。
そんな俺はバカみたいに。
あからさまに不機嫌な態度で彼女に接してしまう。
まるで男子小学生だ。
自分の欲しいおもちゃが買えない子供ときっと同じ。
『将人っ!』
俺よりバカなのは、やはり彼女で。
俺の気持ちをすぐに奪うような発言ばかりする。
不意に名前を呼ばれて、すごく喜んでいた自分を隠すように。
『うるさい』
俺は彼女に顔を見せずにそう言った。