【短編】黒板に、その2文字を
「…手…出して。一回で、本当に一回でいいからっ!お願い!」
顔の前で両手を合わせて目を瞑る彼女を見て、いやらしいことを考えてしまうのも。
一回なんて言わずに、何度でも触れてくれと思っているのも。
全部全部、心の中に秘めているから、許して欲しい。
「今度の数学のテスト、80点以上ならいいけど」
そんなふざけたことを言う俺に
「ほ、ほ、本当?!?!取るっ!絶対頑張るっ!!」
餌をもらった子犬みたいにはしゃぐ彼女。
負けてしまった。
無邪気さに、幼さに。