【短編】黒板に、その2文字を
「し、失礼します」
緊張した顔をして、ゆっくり俺の手に手を伸ばす彼女。
少しひんやりと冷たくなってる彼女の手が、熱くなった俺の手を包み込んだ。
俺は大人。
俺は大人。
何度もそう言い聞かせるけど、別にJK全員にときめく訳ではない。
彼女が特別で。
やっぱり恋愛に年齢なんて関係ないんじゃないかと都合のいいように物事を考えてしまう。
「で?どうなの。俺の手相は」
「あ、はい…えっと…」
目を泳がせながら俺の手を両手で掴まえたままの俺の生徒、吉田 すず。
このまま、彼女を抱きしめることができればどんなに幸せか、なんて。
彼女の答えを待ちながらそんなことを考える。