【短編】黒板に、その2文字を
「どうみても子供相手にしなさそうな人じゃん」
「諦めればー?」
女友達はみんなそう言う。
諦めればって…好きってそう言うことじゃ、ないじゃん。
「吉田さん、可愛いんだから、三浦なんかやめて他の奴にすれば?俺とか」
クラスのお調子者がそう言ってくるけど、冗談でも、先生以外なんて今は誰とも付き合う気なんてない。
私は先生が好きだし。
付き合えなくても好きなんだもん。
「吉田」
大好きな声が教卓からそう呼ぶので、私は明るく「はいっ」と返事する。
「お前、評価0免れたかったら、放課後先生の手伝いしろ」
「えっ?!?!」
先生自らお誘い?!
「何それ!!先生と2人きり?!」
心の中では飛び跳ねまくりで教卓まで走って、前のめりで先生にそう聞く。
「バーカ。んなわけあるか。一人で」
「そんな……ううんっ!でもいい!先生からのお願い!引き受ける!」
私がそう言うと、先生はうんともすんとも言わず教室を後にした。