【短編】黒板に、その2文字を
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「5枚順番に重ねてホチキスでとめる。これを100束。わかった?」
「え、あ、はいっ!!やりますっ!頑張ります!」
先生に好かれたい。
先生に気に入られたい。
今までの、私に対しての先生の表情を見る限り、程遠いことなんだろうけど。
でも、
でもいつか。
放課後に何度かみたあの笑顔を。
私に向けてくれたらいいな。
なんて。
そんなことを思いながら、先生がいなくなった教室で一人、ひたすら作業する。
開いてる窓から運動部の生徒の声がして、音楽室からの吹奏楽部の練習の音がして。
放課後の教室、やっぱり好きだなぁなんて。
目を閉じて、あの時の先生の笑顔を思い出す。
先生はきっと、学校や生徒が大好きな人なんだと思う。
じゃなきゃ、あんな優しい顔で教室を眺めたりしないもん。
私は知っているから。