幻奏少女
闇に紛れた少女の幻影
「と……とりあえず、何か着て?」
僕が言うと、ツッコむのそこ? と、彼女は眉をひそめた。
「だ、だって……」
窓越しに差した月明かりに、彼女の肌が妖しく浮かんで。
直視できる状態じゃない。
その、艶かしい曲線に、不意に鋭い銀色が見えて、次の瞬間、僕の喉元にはナイフが光っていた。
「聞こえてた? 死・ん・で。そう、言ったの」
「いいよ」
目の前に整った顔で迫られて、内心ちょっとドキドキしながら、平然と答えた僕に、彼女はチッと舌打ちをした。
そして、僕のベッドの上にボスッと飛び乗ると、
「あんた、黒崎恭哉だよね?」
そう、訊いてきた。