幻奏少女
「言ったって、信じないでしょう?」
確信に満ちた眸で言いきられれば、裏切りたくなるもので。
「そんなの聞かなきゃわかんないよ」
僕が言っても、彼女は嘘よ、と口角を上げて薄く笑った。
強気な態度と裏腹に、朔羅は酷く傷ついて見えて、僕は何も言えなくなった。
「アタシ、トマト嫌いなんだよね」
気がつけば、勝手にサラダを食べてる朔羅。
……やっぱり、朔羅は自由奔放にしている方が似合ってる。
こうして安堵してる僕は、彼女の傷を覗かずに、彼女の秘密を覗こうとしているのか。
そう思えて、僕はそっと目を伏せた。