幻奏少女
食べ終えた皿はトレイに乗せて、再び廊下に戻しておけば、気付いた執事かメイドが持っていってくれる。
そうやって戻れば、また、朔羅はどこかに消えてる。
「朔羅?」
どうせまたその辺りをふらふらしてるんだろうと思い、たいして気にも留めずにいると、
「おゎっ!? ちょっと、黒崎恭哉もどき!」
がらがらと何かが崩れるような音とともに、僕を呼ぶ声がした。
何をしたのか知らないが、あくまで“もどき”をつけるのは忘れないようだ。
本物だ、って言ったのに。
「どこ?」
訊いてみたものの、答えが返ってくるより早く、ガラクタに押し潰されそうになっている朔羅を見つけた。
部屋の一角にあった、中身はカオスと化している棚を開けたらしい。