幻奏少女
「いいよ、別に」
「え、よくないよ」
「いいの。あんたと同じ、アタシも“いらない子”なんだから」
出会った日。
聞こえてないと思ってたのに、僕の呟きは聞かれるどころかバッチリ憶えられていた。
「どうして? ね、話してよ。どんな朔羅でも、僕は受け入れるよ」
僕が言うと、迷うように瞳が揺れて、
「たとえそれが信じられないようなことでも?」
と、ぽつりと朔羅が呟いた。
僕が頷いてみせると、
「もし、アタシが数十年後の未来から来た、と言っても?」
挑むような視線とともに、疑うような口調で言われ、僕はふっと笑った。
「朔羅がそれが事実と言うなら、僕は信じるよ」