幻奏少女

意味深に呟かれた言葉に、何か引っ掛かるものを覚えたものの、僕は話すことに決めた。

もともとそんなに、必死で隠したかったほどでもないし。



……半年前、妹がグレ始めた頃。

どうして妹は自由なのに、自分は専属執事を付けられ、行動が制限されるのか。

そんなことに、疑問を持った時期だった。


たとえば父の書斎。

面白いモノなんかないだろうけど、僕だけは、何かあっても入れなかった。


たとえば放課後。

学校が早く終わったときは、必ず執事に連絡しないとダメだった。快適なはずなのに、息苦しい送り迎え。


全てに嫌気がさして、壊そうと思ったのが、1年前。

実際に壊したのが、半年前。

< 24 / 39 >

この作品をシェア

pagetop