幻奏少女
意味深に呟かれた言葉に、何か引っ掛かるものを覚えたものの、僕は話すことに決めた。
もともとそんなに、必死で隠したかったほどでもないし。
……半年前、妹がグレ始めた頃。
どうして妹は自由なのに、自分は専属執事を付けられ、行動が制限されるのか。
そんなことに、疑問を持った時期だった。
たとえば父の書斎。
面白いモノなんかないだろうけど、僕だけは、何かあっても入れなかった。
たとえば放課後。
学校が早く終わったときは、必ず執事に連絡しないとダメだった。快適なはずなのに、息苦しい送り迎え。
全てに嫌気がさして、壊そうと思ったのが、1年前。
実際に壊したのが、半年前。