幻奏少女
そして、遺産。
母の実家で今頃になって見つかったというそれの相続先は僕になっていた。
それを目的に、今さら現れた親戚。
ちなみにそれまで、母は親戚たちとはほとんど完全に絶縁状態だったようだ。
……まぁ、難しいことはよく分からないけど。
何にせよ、僕は望まれた子じゃなかったんだ──。
自分の出生を理解して、自分の存在意義を悟った途端、僕はその場にしゃがみこんだ。
専属執事に電話をしても、こんな時に限って繋がらない。
とりあえず、書斎に居るのをバレたらまずい。
必死で自室に戻ってそれきり、僕は引きこもっていた。
……それは、今も。