幻奏少女
時と空間を越えるもの
「ふぅん。要は、望まない子だったあんたを、あんたの父親が諦めて引き取ったのね」
……まぁ、簡単に言えば。
僕の本当の母親は、父親の浮気相手だったらしい。
母が僕を身籠ったとき、ふたりは別れ、しかし僕を産んだとき、母は死んでしまった。
身内はここの父しかいなくて。僕は仕方なく引き取られたんだ。
「……ね」
手首を掴んだ両手に力を込めて、僕は朔羅を見上げた。
「僕は全部話したよ。だから朔羅も、教えて?」
約束は約束だからね、と、朔羅は呟いた。
そして、僕の目をまっすぐ見つめたまま、言った。
「アタシの両親、殺されたの」