幻奏少女

「あんた簡単に殺せそうだし。Mがどうあがこうと、ドSになれやしないだろうし。頭も回んなそうだし」


つぅっと、艶かしい動きで、いつの間にか僕の拘束をほどいていた彼女の指が、僕の頬をなぞる。

そしてそのまま、僕の顎を捕えると、スッと顔が近づいて、刹那、唇を奪われた。


「ほんと、隙だらけ」


悩ましげに吐くため息さえも、なぜかゆったり美しい。

そして、

「もしアタシの唇に毒を含ましていたら、あんた死んでたよ」

呆れたように、囁いた。


「だって朔羅は、そんなこと、しないよね?」

「さぁ? ……あんたどうして、アタシを疑わないの」

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