幻奏少女
「はぁっ!?」
もし売ってたとしても、買いに行ったら僕が変態みたいじゃないか。
仕方ない。
僕はこっそり廊下に出ると、3つ隣の妹の部屋に向かった。
床に敷かれた絨毯に、僕の足音は吸い込まれ、思いの外あっさり到着。
お嬢様として教育されてきたと思えない程にアバウトな性格の妹は、案の定部屋に鍵などかけてなくて、そしてやっぱり、部屋にいなかった。
たぶん今日も、夜の街を彷徨っているのだろう。
反抗期なのか、めったに家に帰って来やしない。
お陰で、こうして忍びこんでもバレないのだけれど。