幻奏少女
妹は決して着ないだろう、きらびやかな服やら何やらをクローゼットから取り出すと、それを抱えて部屋を出た。
あ、どうして着そうにない服まであるかというと、メイドが勝手に買っておくからだ。
だから、服の1枚や2枚、増えても減っても気づかないはず。
「って、何マジで寝てるの!?」
布団を奪ってばさばさと服を手渡すと、彼女は眠そうな上目遣いで僕を見る。
「……あぁ」
「ていうか何で服ないんだよ」
「溶けちゃったんだから、仕方ないじゃん」
ふわぁ、と欠伸をひとつした後、彼女は渡した服を着て、僕から布団を奪い返した。
「あっ、ちょっと」
「いいじゃん」
「……ねぇ、何なのこの姿勢」
「黒崎恭哉もどき、あったかい」
いや、本物だって。