幻奏少女
約5分。
きっとそろそろ届いただろう朝食を取りに僕が起き上がろうとすると、途端にぐっと首根っこを掴まれて、僕はベッドに逆戻りした。
「な、何」
「あんたの家って、金持ちだったっけ」
「まぁ……」
訊きたいコトはそれだけだったみたいで、僕が頷くのを見ると、手を放し再びベッドを独り占めした。
その様子を眺めていても仕方ないので、僕はかちゃりとドアを開け、トレイに乗った朝食を部屋に取り込んだ。
「朔羅……?」
僅かな間に、ベッドは空っぽ。
呼び掛けてしばらくして、彼女は姿を現した。
なぜだか頬を上気させて。