幻奏少女

「すごいな、ここでほとんど暮らせんじゃん」


どうやらあちこち見回って、お風呂やら何やらまで付いているのに気付いたらしい。

まぁ、確かに広くて生活のほぼ全てを出来ることは認める。

現に僕はここ半年、ずっと部屋に閉じこもっていたんだから。


「朔羅、何か食べる?」

「何であんた、名前……」

「昨日教えてくれたじゃん。朔羅こそ、どうして僕の名前知ってたの」


そもそもどうしてここに居るの。

それ以前に、朔羅って人間なの?

……なんて訊いたら後が怖いから、それ以上は言わなかったけど、けどそれだけでも訊くなと言いたげな目で、朔羅は僕を見た。

鋭い視線。

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