リアル☆タイムスリップ
序章
ざっしゅざっしゅと竹箒が細かい玉砂利の上を清めていく。
が、掃いた傍から枯れ葉が舞い落ち、あっという間に玉砂利を隠す。
何度か掃いては戻り、掃いては戻りを繰り返した後、大江 正宗(おおえ まさむね)はため息をついて手を止めた。
ここは山の中の氷之神神社(ひのかみじんじゃ)。
小さいが由緒ある神社だ。
正宗の家は、代々ここの宮司を務めている。
正宗は次男坊なので、さしたる重責はないのだが。
ざっと風が吹き、折角集めた葉っぱを散らす。
風はそのまま、一部分で渦を作った。
「……かまいたちか」
渦の中心に、ちらりと茶色い尻尾が見えた。
その瞬間、風に巻かれていた葉っぱが、ぴ、と裂ける。
ふぅ、と小さく息をつき、正宗は祠の階に腰を掛けた。
かまいたちというのは自然現象だが、これは違う。
そもそも『かまいたち』というのは妖怪の名前だ。
真空状態の風のせいで、皮膚などがすっぱり裂ける様子を昔の人が妖怪の仕業としてそう呼んだ。
まるで鎌を持った動物が襲ったようだから。
現代人は、そのメカニズムも解明し、妖怪などの仕業ではないとわかっている。
が、正宗は、本当にそういう妖怪がいたのだろうと思っている。
現にさっき、茶色い尻尾が見えたではないか。
「ま、どうせ皆には見えないだろうけどね」
呟き、長めの前髪を掻き上げる。
この目はあらゆるものが見え過ぎる。
大江の一族は、そうなのだという。
一説には、鬼の血が入っているからだとか。
が、掃いた傍から枯れ葉が舞い落ち、あっという間に玉砂利を隠す。
何度か掃いては戻り、掃いては戻りを繰り返した後、大江 正宗(おおえ まさむね)はため息をついて手を止めた。
ここは山の中の氷之神神社(ひのかみじんじゃ)。
小さいが由緒ある神社だ。
正宗の家は、代々ここの宮司を務めている。
正宗は次男坊なので、さしたる重責はないのだが。
ざっと風が吹き、折角集めた葉っぱを散らす。
風はそのまま、一部分で渦を作った。
「……かまいたちか」
渦の中心に、ちらりと茶色い尻尾が見えた。
その瞬間、風に巻かれていた葉っぱが、ぴ、と裂ける。
ふぅ、と小さく息をつき、正宗は祠の階に腰を掛けた。
かまいたちというのは自然現象だが、これは違う。
そもそも『かまいたち』というのは妖怪の名前だ。
真空状態の風のせいで、皮膚などがすっぱり裂ける様子を昔の人が妖怪の仕業としてそう呼んだ。
まるで鎌を持った動物が襲ったようだから。
現代人は、そのメカニズムも解明し、妖怪などの仕業ではないとわかっている。
が、正宗は、本当にそういう妖怪がいたのだろうと思っている。
現にさっき、茶色い尻尾が見えたではないか。
「ま、どうせ皆には見えないだろうけどね」
呟き、長めの前髪を掻き上げる。
この目はあらゆるものが見え過ぎる。
大江の一族は、そうなのだという。
一説には、鬼の血が入っているからだとか。
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