リアル☆タイムスリップ
「何で……」
『まぁ……よく言われるのが、時空の歪みに落ちたってやつかの。京の空気は明らかにおかしかったし』
「けど、そんなことでタイムスリップしてたら、今頃京都の人は皆どっかに飛んでるんじゃないか?」
タイムスリップ。
言葉にして、改めてぞっとする。
昨今お話の類でよく見るタイムスリップもの。
その中でも群を抜いて多いであろう新撰組絡み。
それを己が体験するとは。
「あ。でもそういう物語では、皆結局帰るよな? 多分。そのままそこで一生を終えることはないはずだ」
だから自分も大丈夫、と何の根拠もないことで安心しようとするが、蛍丸が、ふん、と笑った。
『馬鹿め。そんな読み物のように上手く行くわけなかろうが』
顔を強張らせる正宗に、蛍丸は周りを示してみせる。
『メカニズム的なものを語るよりも、この状況を見れば早い。えらいところに落ちたものじゃ』
「確かに」
ぼそぼそと言っていると、一人の男が歩み寄って来た。
「どうした? めかしこんでるわりには、緊張してんのか?」
「い、いえ、そういうわけでは……」
「皆着の身着のままだってのに、いつの間にこんな着物揃えたんだ」
ははは、と笑い、ばん、と背を叩く。
袴であったのが幸いした。
神職の装束なので、やはり少し違うが、和装には変わりないので、そう目立たない。
目立つとすれば、小奇麗さか。
皆垢じみた着物を纏っている。
『まぁ……よく言われるのが、時空の歪みに落ちたってやつかの。京の空気は明らかにおかしかったし』
「けど、そんなことでタイムスリップしてたら、今頃京都の人は皆どっかに飛んでるんじゃないか?」
タイムスリップ。
言葉にして、改めてぞっとする。
昨今お話の類でよく見るタイムスリップもの。
その中でも群を抜いて多いであろう新撰組絡み。
それを己が体験するとは。
「あ。でもそういう物語では、皆結局帰るよな? 多分。そのままそこで一生を終えることはないはずだ」
だから自分も大丈夫、と何の根拠もないことで安心しようとするが、蛍丸が、ふん、と笑った。
『馬鹿め。そんな読み物のように上手く行くわけなかろうが』
顔を強張らせる正宗に、蛍丸は周りを示してみせる。
『メカニズム的なものを語るよりも、この状況を見れば早い。えらいところに落ちたものじゃ』
「確かに」
ぼそぼそと言っていると、一人の男が歩み寄って来た。
「どうした? めかしこんでるわりには、緊張してんのか?」
「い、いえ、そういうわけでは……」
「皆着の身着のままだってのに、いつの間にこんな着物揃えたんだ」
ははは、と笑い、ばん、と背を叩く。
袴であったのが幸いした。
神職の装束なので、やはり少し違うが、和装には変わりないので、そう目立たない。
目立つとすれば、小奇麗さか。
皆垢じみた着物を纏っている。