リアル☆タイムスリップ
第四章
 何となくなってしまった監察方だが、正宗にとってはありがたい役目だった。
 普通の隊士だと順番で巡視はあるし、町の警備を担当しているので斬り合いは日常茶飯事だ。

 もやしっ子の現代人に、そんな危険な日常は耐えられない。
 かといって逃げ出せばそれだけで切腹だ。

 その点、監察方は戦いに参加することはほぼない。
 その前の段階の裏取りが主な仕事なので、単独でこそこそ動けばいいのだ。

「とはいえ、町も何か空気が違うし、うっかりしてると何もしてないでも斬り合いに巻き込まれそうだ」

『最も京が物騒な時代に来てしまったしのぅ』

 とりあえずは働かないと。
 ずっと屯所でごろごろしているわけにもいかない。
 剣術の稽古に駆り出されるのもご免だ。

 ということで連日出かけてはいるものの、特に何をするでもなく町を歩いた。
 歴史を知っている者からすると、これから起こることもわかるのだ。
 わざわざ調べるまでもない。

『史実では古高をチクったのは山崎よな? が、奴は枡屋に目を付けてる風もないぞ?』

「そうなんだよね」

 カレンダーというものがないので、今が何月何日なのかわからない。
 が、そろそろ祇園祭のはずだ。
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