リアル☆タイムスリップ
 帰れないのなら、一体自分はこの世界でどういう死に方をするのだろう。
 新撰組にいる、というだけで最期は悲惨な気がする。
 何故現代人は、やたらと新撰組にトリップしたがるのか。

「まぁトリップならいいよな。旅行だもんね」

『その時代の者からすると、トリップのほうが質(たち)が悪いがな。荒らすだけ荒らして帰るのだし』

「でも現代科学では片道切符なんでしょ」

『そう。トリップなどあり得ん。トリップ気分で来て取り残される』

「キッツいね」

『ちょっと考えればわかることぞ』

 考えれば考えるほど落ち込みそうだ。
 考えたところで帰る手段が見つかるどころか、帰れないのが当たり前に思えてくる。
 好きでタイムスリップしたわけではないのに。

「どうせなら、自分のご先祖でも探そうか」

 この時代なら、ひいじいさんぐらい。
 意外と近いな、と思い、ふと前に蛍丸と話したことを思い出す。

「なぁ。もし俺が本当に、そういう時間のループの中にいるのなら、もしかして俺のひいじいさんって、俺自身じゃないのか?」

 蛍丸が、ちろりと正宗を見る。

「俺がここで誰かと結婚して子供が産まれて。それが続いて四代後ぐらいに、今の俺が現代で産まれる。で、その現代の俺は、十八の初夏に、新撰組に飛ばされる。で、またそいつはその時代で誰かと結婚して、四代後にまたそういうことが起こって……」

 ぞく、と正宗は身を震わせた。
 自分の曾祖父が、自分自身。
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