リアル☆タイムスリップ
「そ、そんなこと……」

 時空の無限ループに捕まったようだ。
 永遠に四代の生をぐるぐる回っているのだろうか。

 気持ち悪くなり、ぐらりと正宗の身体が揺れた。
 そのとき。

「大江!」

 前からの声に、は、と顔を上げると、土方隊が集まっていた。

「……あ、副長。池田屋に、尊攘派が集まってます。局長らが突入しましたので、急ぎ応援を」

「何だと! よし、皆、急げ!」

 土方が声を上げ、すぐに池田屋に向かう。
 位置的に先導する形になってしまい、正宗もとりあえず皆と池田屋に足を向けた。

 だがさっきのショックが尾を引いている。
 人がどういう時間のループの中にいるのかはわからない。
 もしかしたら、皆一定の無限ループ内にいるのかもしれない。

 が、タイムスリップしてそれを実際に体験する者などいないだろう。
 それと知ってしまったら、こうも気持ち悪いものか。

『おい正宗。しっかりしろ』

 蛍丸が声を掛ける。
 のろのろと、正宗は顔を上げた。
 ふよふよと浮く、牛若丸。

「そうだ……。蛍丸なら知ってるだろ?」

 死ぬことのない蛍丸なら、ずっと正宗のループに付き合っているのではないか?
 が、正宗が蛍丸に問う前に、前方が騒がしくなった。

「突っ込め!」

 土方が振り返って怒鳴る。
 我に返れば、大騒ぎになっている池田屋が目の前にあった。

 怒号と剣戟の音が響く。
 ここで逃げたら切腹だ。
 皆抜き身を手に飛び込んでいく。
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