リアル☆タイムスリップ
『夢の影響がそこまで残るのも珍しいが』
気持ち悪そうにしている正宗を見つつ、蛍丸も興味を覚えたようで、うーん、と考える。
『ニオイは記憶に直結しておるからのぅ。大抵の夢にはニオイなどない。だからこそ曖昧なんじゃ』
「そうなのか」
『それが目覚めてからも身体に影響を及ぼすほどとなると、ちょっと普通の夢ではないぞ』
「……でもまぁ、何にせよ戻って来られて本当に良かった。あのままだと死んでた。……て、あれ」
ふと正宗は、最後に気付いたことを思い出した。
魔の四代ループ。
そういう運命だと思ったが、あのままあそこにいたら、今頃頭に槍を生やしてあの世行きだ。
ということは、曾祖父が正宗自身、ということもないのでは。
「それとも寸でのところで、誰かが助けてくれたのかな」
『つか、おそらくそれはないぞ』
きっぱりと言う蛍丸に顔を上げれば、蛍丸は、ちょいちょいと己を指差している。
『おぬし、わしと共に過去に行ったのじゃろ。曾祖父がおぬし自身としたら、わしのこの姿の説明がつかん』
ん、と改めて蛍丸を見る。
絵本『牛若丸』そのままの水干姿。
『わしは古来より存在しておる。四代ループの中にあるはずなかろう』
「そっか……。なるほどね」
一緒に過去に行った蛍丸も同じ姿だった。
一緒にタイムスリップする運命にあるなら、蛍丸に歴史はないはずなのだ。
あって江戸時代。
「やっぱり……夢だったのかなぁ」
証拠を提示されても今一つすっきりしないまま、正宗は夕日が照らす庭を眺めた。
気持ち悪そうにしている正宗を見つつ、蛍丸も興味を覚えたようで、うーん、と考える。
『ニオイは記憶に直結しておるからのぅ。大抵の夢にはニオイなどない。だからこそ曖昧なんじゃ』
「そうなのか」
『それが目覚めてからも身体に影響を及ぼすほどとなると、ちょっと普通の夢ではないぞ』
「……でもまぁ、何にせよ戻って来られて本当に良かった。あのままだと死んでた。……て、あれ」
ふと正宗は、最後に気付いたことを思い出した。
魔の四代ループ。
そういう運命だと思ったが、あのままあそこにいたら、今頃頭に槍を生やしてあの世行きだ。
ということは、曾祖父が正宗自身、ということもないのでは。
「それとも寸でのところで、誰かが助けてくれたのかな」
『つか、おそらくそれはないぞ』
きっぱりと言う蛍丸に顔を上げれば、蛍丸は、ちょいちょいと己を指差している。
『おぬし、わしと共に過去に行ったのじゃろ。曾祖父がおぬし自身としたら、わしのこの姿の説明がつかん』
ん、と改めて蛍丸を見る。
絵本『牛若丸』そのままの水干姿。
『わしは古来より存在しておる。四代ループの中にあるはずなかろう』
「そっか……。なるほどね」
一緒に過去に行った蛍丸も同じ姿だった。
一緒にタイムスリップする運命にあるなら、蛍丸に歴史はないはずなのだ。
あって江戸時代。
「やっぱり……夢だったのかなぁ」
証拠を提示されても今一つすっきりしないまま、正宗は夕日が照らす庭を眺めた。