リアル☆タイムスリップ
「そうそう。前の整理で、新たに見つかったものがありまして。なかなかな時代物のようなのですが、読んでみますか?」

「え、いいんですか?」

 古い神社には、そういった掘り出し物があったりする。
 一般に公開されないものでも、こうして触れることができるのだ。

 宮司が経堂の奥へと正宗を案内し、天井板を外して梯子をかける。
 盗難防止のため、大事なものは誰でも入れる経堂ではなく、その天井裏に収められている。

 天井裏は屋根裏部屋のように、少し屈めば十分動ける広さがある。
 壁際に、いろいろな木箱がうず高く積まれていた。

「これなのです」

 小さな虫取り窓を開けて風を通しながら、宮司が奥の小さな文机の上の冊子を指す。
 古めかしい和綴じ本だ。

「多分、一緒に見つかった木箱の目録のようなのですが」

 宮司が、へら、と笑う。
 古文など、勉強しないと読めないものだ。
 正宗は、ぺらぺらと紙を少し繰ってみた。

「うん、何とか読めそうです」

「良かった。じゃあ先に、この木箱の中身を照らし合わせてみましょう」

 いそいそと、宮司が木箱にかけてあった紐を解いた。
 箱は結構な大きさだ。
 二人して蓋を外すと、長年閉じ込められていた空気が、ふわりと広がる。
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