甘え下手を治すには溺愛を
14.裕:形勢逆転
こいつ本当に『つまらない女』なのか?
それとも…好きな奴には自分が出せないってやつか。
ま、それなら俺で甘え慣れすれば、自然に甘えが出るようになるよな。
しっかし……千紗にからかわれるなんて、俺としたことが。
可愛いなんて言われたことねーし。
こいつ目が腐ってんじゃないのか?
「あ、そうだ。
レバー食べれることも分かったし、あーんしてやるよ。」
「え!?ムリムリムリムリ!」
120%の拒否。からの〜。
「じゃ口移しかポッキーゲームみたいにする?」
ポッキー……ポッキー……と呟く千紗が笑える。
「ほれ。こんな風に。」
口にレバーを咥えて「ん」って差し出せば、やっと理解できたみたいで顔が真っ赤になった。
そうそう。
こっちが普通。
俺がからかう方ね。
ふふん。形勢逆転だな。
咥えたレバーをパクッと口に入れてそれは食べちまって、箸で新しいレバーをつかむ。
「ほら。口移しが無理なら、あーんだぞ。」
「う………。あ……。」
おもしれー。こいつ。
断った1個上の事を言えば、断ったくせにやるっていう……。