甘え下手を治すには溺愛を
15.千紗:ほっぺにチュー
やっぱり振り回されっぱなし。
でも…振り回されてるお陰で「私って可愛くないなぁ」なんて卑屈に思わなくても済んでる……。
不思議な人だなぁ。裕って。
「なぁ。
自分から「ねぇ食べさせて」っておねだりするのがいいか、んーそうだな。ほっぺにチューとどっちがいい?」
「は…。」
ちょ、ちょっと待って。
どういう選択肢?
「ブブーッ。はい、時間切れ。
ほっぺにチュー決定しました!」
「な、なんでそうなっちゃうの?」
さすがに今のは理不尽過ぎるんですけど!
「ほら。可愛いスキンシップに慣れた方が甘え上手になれるってもんだぜ。
あぁ。それとも千紗からチュッってしてくれる?
ご飯作ってくれてありがとっのチュー。」
どれもこれも目が回りそうな提案にあたふたしていると、裕の顔が近づいてきて…。
チュッ。
うわー!
ちょ、ちょっと待ってよ!
声にならない叫びが頭の中にこだまする。
「大丈夫だって。
これもれっきとした甘え講習だぞ。
浮気ではありません。」
ニッシッシって笑う裕に言われても、どう受けとればいいのか分かりません!