甘え下手を治すには溺愛を
18.裕:帰らないで
彼氏がいくつかなんて知ってんだけどさ。
っていうか千紗は俺のこと信用し過ぎなんだよね。
「ねぇ。年上のお姉さまなんでしょ?
ナデナデしてよー。」
「う…あの……無理です。」
「ハハッ。年下設定でも敬語じゃん。」
「う…。」
年齢っていうより、いっぱいいっぱいになると敬語になるみたいだけどな。
でも、それに自分で気づいてないのか。
んっとにおもしろい奴。
膝の上から見上げた千紗は固まったまま。
ちょっと可哀想だったかな。
まだ受け身じゃないと千紗は無理だもんね。
受け身ならなんでもいいってのも、どうなの?とは思うけど。
裕一は起き上がると、腕の中に千紗を収めた。
「固まってる。千紗、可愛い。」
こっちがナデナデしてやって、またからかいの言葉をかけてみる。
「帰らないで…。って言ってみる?」
「…………。」
あぁ。そうだった。
スキンシップしたままじゃ話せなくなる機能だった。
ククッと苦笑してから解放してやった。