甘え下手を治すには溺愛を
19.千紗:スキンシップ過多
からかわれてるのが分かるんだけど、こっちは手も足も出ない。
でももう帰らなきゃいけない時間なんだろうな。
もちろん帰らないでなんて言えないし!
クククッと笑っていた裕は腕を緩めて、抱きしめていた手を外した。
「ほら。これなら言える?」
解放された体は裕のぬくもりを失って急に寂しく感じてしまう。
それでも……言えるわけない。
「ま、これも練習だな。」
頭を優しく撫でられて裕が立ち上がる。
私も立ち上がって玄関まで流れで見送ることになった。
「じゃ今度こそ土曜な。」
「……うん。
あの、ご飯。
ありがと。おいしかった…デス。」
顔は見て言えなかったけど裕が頭をグリグリしてくれた。
「千紗にしては上出来だな。」
急に引き寄せられて、頭にチュッって音がした。
「じゃーな。」
パタン。
静かに閉まったドア。
赤くなりっぱなしの顔は今さらこれでもかってくらいに赤くなる。
裕は外国育ちが長いんだ。きっと。
じゃなきゃこんなにスキンシップ激しい人、私、知らない!