甘え下手を治すには溺愛を
7.千紗:千紗の日常
よく状況がつかめないまま、裕と別れてアパートに帰った。
土曜。
勝手に決められてしまった。
困るはずなのに、ちょっと嬉しくてどう反応していいのか…。
彼氏との約束を心配してくれたけど、そんな心配はいらない。
だっていつも私から聞かなきゃ会えないし、約束を取り付けたって今日みたいに来ない時だってある。
いつもなら今日もずーんと沈んでアパートに帰るところなのに、それほど落ち込んでいない。
落ち込んでいないどころか…。
千紗はベッドに仰向けになって、右手を掲げて眺める。
「手…大きかったなぁ。」
スラッとして綺麗な指。
あの綺麗な手に握られたんだ…。
思い出すと顔が急に熱くなって、恥ずかしくなる。
これは浮気じゃない。甘え講習です。
そう何度か心の中で繰り返した。