まいにち、しののめ。2
19日・いまのキミはピカピカに光って
魔法使いのキキが高校生になったようです。
ーー アオハルかよ。 ーー
(日清カップヌードルCMより)

こんばんは、東雲葵です。
朝、テレビに映し出された映像に度肝を抜かれました。みなさん、ご覧になりました?「もし、キキとトンボが日本の高校生だったら」と仮定したカップヌードルのCM。ご存知ない方は公式サイトに予告編と本編の動画がアップされているので、ご興味あればぜひ。

こういう遊び心あふれる広告って、楽しい。

よほどのことがない限り作っては消えて行く「CM」って、映像、音、キャッチコピー、ナレーションまで含めて超短い「芸術作品」だと思うんですよね。それも、将来、資料としてしか世に残らないサブカルチャー。20秒なり30秒なりの短い中にストーリーがあって、商品の魅力がちゃんと消費者に残る。核となるキャッチコピーなんて、ほんの一言。あれを紡ぎだすのは、究極の引き算デザインだと思います。沢山の言葉の中から、削って削って、磨き上げられた文章。それは詩にも似て。

昔からお付き合いのある方には何度かお話しているので申し訳ないのですが、最近あまり語っていなかったので今日は「広告」、特に「キャッチコピー」について私の好きなものを色々ご紹介していきたいと思います。あー、それあったねー!懐かしい!なんて頷きながら読んでいただければこれ幸い。



「飾る日も、飾らない日も 三越と」

三越の広告より。
このコピー、好きなんです。簡潔で、三越の高級感と親近感がとてもよく伝わってくる。ちょっと特別なものを探しに百貨店を訪れることを「飾る日」と表現したセンスに脱帽です。本当はこれ、イラストや文字の佇まいも素敵なのでポスターごと掲載したいのですが多分それやると怒られるので(笑)断念。ググっとしてください。


「NO MUSIC, NO LIFE.」
説明の必要も最早ない。タワーレコード。このコピーが登場したあと、「NO ◯◯、NO ◯◯」というパロディも其処彼処で聞かれるようになり、広く定着しましたよね。黄色に赤というカラーリングも鮮烈で、一切無駄がない。…のに、汎用性が高い!完成されてる気がします。

「そうだ、京都行こう」
JR東海のCMなのかな。これは地域によって分からない人がいるかも。新幹線で京都へ遊びに行こう!というキャンペーンのコピーなんですが、この「そうだ」が旅に出たくなるフレーズなんです。自然体で、奇をてらっていない。だけど心に残る。行動を起こさせる力がある。素晴らしい文章だと思います。
同じJR東海のシリーズで「奈良編」もあります。
「いま、ふたたびの奈良へ」
こちらもカッコいい。このJR東海の京都編、奈良編はシリーズで大好きでした。映像や音楽も良いんです。

さて、鉄道と言えば…

「ゆっくり行くから、聴こえてくるもの」
「その一瞬が、一生の思い出になる」
「今しか出来ない、旅がある」
これは、いずれも青春18きっぷのコピー。18きっぷのシリーズは全部泣けちゃう。「ずっと一緒だよ と言うかわりに、みんなで旅に出た」「僕らが降りた終着駅は、誰かの旅の始発駅でもある」…青春。旅情。


さて、歌えるシリーズ行きましょうか。

「24時間、戦えますか」…リゲイン
「あなたと、コンビに」…ファミリーマート
「バザールでござーる」…NEC
「お正月を写そう」…富士フィルム写ルンです
「痔にはボラギノール」…ボラギノール

↑キャッチコピーにメロディをつけると余計に忘れられないフレーズになる。クセになりますよね。クセになると言えば、
これは、お菓子類が強い。↓

「それにつけてもおやつはカール」
「やめられない、とまらない、カルビーかっぱえびせん」
「スコーンスコーン湖池屋スコーン」
「ポリンキーポリンキー三角形の秘密はね」
「ドンタコス、ドンタコス、ドンタコスったらドンタコス」
「チョッコレート、チョッコレート、チョコレイトは明治」

書いてるだけで楽しくなっちゃう(笑)
ポリンキーを始め湖池屋の「商品名を繰り返し歌うシリーズ」は確か同じCMクリエイターが作ったものだと記憶しています。すみません、詳しく調べていませんが。伝説的な人だ、みたいな話をどこかで見聞きしました。

伝説的なと言えばキャッチコピーを語る上でこの方を避けては通れません。…糸井重里さん。ジブリ映画のコピーはトトロ以降全て糸井さんじゃなかったかな。違っていたらごめんなさい。ジブリの広告展みたいなものを見に行った時に糸井さんと鈴木敏夫(ジブリの名物プロデューサー)さんの怒涛のファックスの応酬が展示されていて、もののけ姫の「生きろ。」というシンプルなコピーに至った経緯を知りました。あそこに至るまでにものすごい数のコピーが生み出されてはボツにされて行った。文章を生み出すのは間違いなくコピーライターだけど、世に出るまでにはそれを選ぶ側の力も入る訳で、名コピーも1人の仕事じゃないんだな、と感じましたね。

「このへんなきものは、いまも日本にいるのです。たぶん。」
「忘れものを、届けにきました」ーーとなりのトトロ

「4歳と14歳で、生きようと思った」ーー火垂るの墓

「おちこんだりもしたけれど、私は元気です。」ーー魔女の宅急便

「私はワタシと旅に出る」ーーおもひでぽろぽろ

「カッコいいとは、こういうことさ。」ーー紅の豚

「タヌキだってがんばってるんだよォ」ーー平成狸合戦ぽんぽこ

「好きなひとが、できました」ーー耳をすませば

「生きろ。」ーーもののけ姫

「トンネルのむこうは、不思議の町でした」ーー千と千尋の神隠し

「この城が動く」
「ふたりが暮らした」ーーハウルの動く城

「生まれてきてよかった。」ーー崖の上のポニョ

「生きねば。」「いざ生きめやも」ーー風立ちぬ

糸井さんのコピーって、平易な言葉で真ん中をギュッと掴むものが多い気がします。でも、乱暴じゃなく温度があるんですよね。他にも西武デパートの「おいしい生活」やセゾングループの「サラリーマンという仕事は、ありません。」とか日産セフィーロの「くうねるあそぶ」とか。忌野清志郎さんの曲に作詞家として提供した「昼間のパパはちょっと違う〜」とか。好きです。

ああ長くなりました。ごめんなさい。
CMのコピーって本で読む言葉と違って「生きて働く言葉」なんですよね。人を動かすために組まれたものだから。だから力がある。知れば知るほど、面白いです。

目の付け所が、シャープでしょ。
キリンさんが好きです。でも、ゾウさんはもっと好きです。
愛は、食卓にある。
はやい、やすい、うまい。
だけじゃない、TEIJIN。
キンチョーの夏、日本の夏。

キリがないので、この辺で。
皆さんの好きなCMは、何ですか?



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