彼がメガネを外したら…。
絵里花の言葉を聞いた史明の口角が、微かに上を向いた。レンズの向こうの眼差しも、優しく穏やかになったような気がする。
史明がこの恋心を受け入れてくれなくても、恋人同士になれなくても、今の絵里花にはこれだけで十分だった。
「だから、岩城さんの〝読み〟が当たってるかどうか、知りたくてワクワクしてるんです。早く確かめに行きましょう!」
そう言って絵里花が急かすと、史明も頷くように息を抜いて、再び歩き始めた。