【対談】桜雛×キャラ
クリスマスコンサートと銘打っただけあり、なじみのあるアヴェマリアが演奏される。


世界のアヴェマリアってことで様々な言語で歌っていくんだが、グノーとシューベルトは知っていてもマスカーニの曲は初めて聴く。


英語バージョンで作られた曲は見つからなかったとかで、代わりにアメイジンググレイスが歌われた。


それが終わったところで拍手をしながら、若菜が耳打ちする。


「わざわざ大阪まで歌を聴きに来ただけ…なんて、桜雛さんに限って無いですよね?」


若菜の言葉を聞いて、ん?と感じた。


ホール前の看板見たんなら、打楽器奏者目的だということくらい解る筈なんだが…。


若菜の質問に答えようとしたときに、ステージから声が聞こえた。


「メリークリスマス!

…10日前。」


贔屓にしてる打楽器奏者が、ステージに現れたと同時に発した言葉だった。


確かにクリスマス10日前だが、クリスマスコンサートなんだから余計な一言は要らねぇ…。


若菜に視線を向けると、目をまんまるにしてた。若菜は梨香やアンジェに比べ頭は良い設定にした筈だが予想外のとこで抜けてるようで、看板に書かれたゲストの名前をちゃんと見ていないんだろう。


プログラムは進み、前半最後の曲になった。


ルロイ・アンダーソンの『タイプライター』


4人の女声がメロディを担当し、タイプライターは打楽器奏者が演る。


タイプライターから紙を抜き出し、『後半も見てね!』の演出…。


聴いてね!の間違いだろ…と苦笑しつつ休憩に入る。




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