「素直じゃない」
始まりはキスで
「んっ……はっ、んん…」

裏通路は真っ暗。ここに響くのは私の吐息と彼の息づかい。

『藤、どこいった?休憩か?』

インカムでリーダーが呼んでいるのも関わらず、ずっとキスしてる私たち。

「よ、呼ばれて「うるさい」」

そういうと私を後ろから抱きしめて、私の口に彼の長い指が入ってきた。

「ふっ…んあ…」
苦しい、

「静かにしてろよ、じゃないと聞こえる。」
そう言うと、上顎を指でこすり始めた。

ゾクリとして声が出そうになる。
『藤です、どうぞ』
声、出そう…

『明日の婚礼は2組いるから、そのつもりで準備しといてくれ。』

『了解です。』
早く会話が終わるように願っていると

『明日の会場はどういうセッティングにしますか?』
わざとだ。絶対、わざと耳元で話してるし、話伸ばしてる。

『セッティングの詳細は真帆ちゃんに渡したぞ』
リーダーが言った。

『真帆が持ってる。了解です。』

『じゃあ、よろしく。』ピッ。

「…離してください。書類渡しに来ただけです。」
ダメ元で言ってみる。

「書類はどうでもいい。もうちょっとこのままでいてくれ。」
いや、どうでもよくないし!

ザー…『羽田ちゃん、ちょっと戻ってきて。』
あ、ヤバ。

「藤さん、ごめんなさい。『はい、戻ります。』」
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