どこまでも甘く~sugar and maple~
壱
「ぅんっまー!」
口いっぱいに頬張ったシロップまみれのパンケーキを一瞬で飲み込んで声を上げたあたしはさぞかしだらしのない顔になっていることだろう。
けどそんなことはどうでも良い、関係ない。
「だってこんなに美味しいんだから!」
「………あんたほんとすげぇ食いっぷりだな」
同じテーブルの向かいに座っている男にそう言われ、顔を向ける。
「食わんなら食っちゃうよ?」
人の食べる姿ばかり見て一向に食べない男にそう言う。
この男とは店前で出会ったのだが、入りたそうにしてるのになかなか入らないから一緒に来るかと誘ったのだ。
「いやダメだから!」
慌てて皿を自分の方に引き寄せ食べ始める男に笑う。
「ぅんっま!なんだこれ!」
二皿目へ突入したあたしの耳に届いた言葉にドヤ顔になる。
行きつけの店の大好物を褒められるのは嬉しいことだ。
「あんたいくつなんだ?」
「…16」
あたしの問いに少しの間を置いて答えた男。
「16!?大人っぽいなぁあんた」