シュガーとワルツは踊らない♡ドキドキ同居生活♡





カチャ、カチャン


調理器具の重なる音がする。


ジュワーッとフライパンの上で何かが炙られる音が心地良く耳に届く。


食欲を掻き立てる匂いが鼻腔を擽り、お腹空いたなぁなんて夢の中の私が呟いた。


うん、やっぱり一人じゃない家の中は落ち着くかも。


ふふっと笑みを浮かべた私は夢心地のまま、掛けられていたタオルケットを無意識に掴んで引っ張りーー



...ん?


そこで私はようやく気が付いた。


私、さっきまで家政婦さんを待ってて、うとうとしちゃってて。

眠っても良いやって思った所までは覚えてる。


だけど、タオルケットなんて自分で持って来た覚えなんて無いし。



そもそもお母さん居ないのに料理の音がするなんて事ある訳ーー




そこまで考えた私は何かに弾き出された様にソファーから跳び起きた。





寝過ごしたーっ‼︎‼︎




急いでキッチンの方を振り向くと、そこには案の定家政婦さんらしき人が背を向けて料理をしていた。


恐らく私の為に晩御飯を作ってくれているんだろう。


「最悪だ」


聞こえない様に小さな声で呟いて、がっくりと頭を垂れる。









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