シュガーとワルツは踊らない♡ドキドキ同居生活♡
チャイムが鳴ったら起きて、ちゃんとした形で迎えようと思ってたのに。
挨拶も無く眠りこけた姿で迎えてしまった。
おまけにタオルケットまで掛けられて完全に気を遣われている。
家政婦としての仕事の一部なのかも知れないけど、でも初っ端からこれは私が居た堪れない。
家政婦さんは料理の音しか耳に入っていないらしく私が目覚めた事に気付いていないみたいだ。
すぐに声を掛けようと近付いた私は、はたと立ち止まり家政婦さんの後ろ姿を見留めた。
黒髪で短髪。
背はすらっとしていて170ちょいはありそうだ。
割と細くて臙脂色のエプロンをしている。
...ボーイッシュな感じの人なのかな。
何だか体型がモデルさんみたい。
まさか、いや、
私はぱっと脳裏に浮かんだ嫌な予感を振り切る様に頭をぷるぷる振って
そして意を決して声を掛けたのだった。
「あ、あのう...」
私の声に家政婦さんはぴくりと肩を跳ねさせた後、フライパンをかけている火の元をカチリと止めて振り向いた。
「あ、起こしちゃいました?」
少し申し訳無さそうな顔をして微笑むその人は、
...やっぱり!
どう見ても家政婦さんじゃなくて
“家政夫さん”だった。