旦那様は甘くて意地悪
旦那様は甘くて意地悪
彼氏いない歴=年齢の私。
今年で二十四歳。
でも焦りもなく、地味に生きてきた。
彼氏が欲しいとも思わず、周りからは地味で暗い子。
そう言われ続けてきた。
視力も悪くてコンタクトにはせずにずっと眼鏡を掛けていた。
だがこんな私も恋をした事はある。
名前も知らない人だった。
出会いは高校一年生の時。
勉強ばっかりしていた私はいつも一人だった。
仲良しの幼なじみと高校が離れた事もあり、友達が居なかった私はいつも図書室で勉強したり、本を読んだりしていた。
三年生の卒業間近のまだ寒かった日、私は図書室で本を読もうとしていた。
だがその本は高い場所にあり、椅子を使って本を取ったけれど、バランスを崩してしまい椅子から落ちてしまった。
目を瞑った私だったけど、痛みはなくて誰かに支えられている感覚がした。
「大丈夫?」
そう声をかけられたが、バランスを崩した時に眼鏡を落としてしまい、声がする方を見たけどボヤけてハッキリ見えなかった。
「あ、ありがとうございます。あの、眼鏡を落としてしまって」
「はい」
そう言って眼鏡を私の手に置いてくれて、私は眼鏡をすぐにかけた。
改めて助けてくれた人にお礼を言おうと顔を見ると、私はあまりの整った顔に固まってしまう。
助けてくれた人は男性で、三年生のジャージを着ていた。
「俺の顔に何か付いてる?」
「い、いえ……助けてくれてありがとうございました」
「君、名前は?」
「高柳円(たかやなぎまどか)と申します」
「高柳……円…そっか。じゃあまたね」
そう言って彼は図書室を出て行った。
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