旦那様は甘くて意地悪



"またね"と言われたけれど、彼とは会うことはなく、そのまま卒業してしまった。


図書室で助けてくれた彼の笑顔か私の脳裏に焼き付き、あの時私は彼に恋をした。


だけど彼は卒業してしまい、私が恋をしたのはたった一回だけだった。


目は大きくて、背も高く、笑顔が素敵な王子様みたいな彼だった。


私はそれから高校を卒業して大学に行き、周りからはガリ勉だとか暗くてキモイとか言われるのを気にせずに卒業した。


就職をしてひとり暮らしを始めたが、両親とあにには凄く反対をされた。


特に兄は過保護で、私を溺愛していた。


うちは両親が会社を経営していて、兄がいずれ会社を継ぐのだけれど、会社のパーティーにドレスコードで参加をした事が一度だけあった。
何故か私に皆が注目をしていて、兄が私の近くに来ると、当時まだ彼女だった今のお兄ちゃんの奥さんに迎えに来させたくらいだった。


奥さんの恵(めぐみ)さんはお兄ちゃんのあまりの溺愛に、確かに分かると私を見て頷きながら私を自宅まで連れて帰ってきてくれた。


何が分かるのかは理解は出来なかったけど、結婚しても相変わらず過保護だったお兄ちゃんだったけれど、最近は赤ちゃんが生まれて、私への溺愛はすっかりなくなりホッとしていた。


両親よりもお兄ちゃんが休みの日は必ず家に帰れと言ってたけど、それもなくなり休日は好きなDVDを見たり、家に籠る事も多かった。


会社でも周りに地味とか言われているし、合コンには誘われる事もない。
幼なじみの弥生(やよい)には、お嬢様なのにお嬢様らしくなく、控え目すぎて恋くらいしたら?なんて言われたりはしたけど、私は目立つ行動が苦手で、兄みたいに活発な子ではなかった。


だけど私は一人を楽しんでいるし、仕事はちゃんとしているから上司に叱られる事もなく、今の生活を楽しんでいた。



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