旦那様は甘くて意地悪
そんなある日の休日。
いつものように家でゴロゴロしていたら、玄関の鍵が突然開いた。
マンションはオートロックだし、合鍵は両親と兄が持っているから、お兄ちゃん達夫婦か両親かな?とか思いながら、だらしない格好を見られるのが嫌になり、正座をして待ち構えた。
だけど私の目の前に現れたのは知らない男の人で、私は固まってしまった。
「円、迎えに来たよ」
「えっ!?」
「今日から君は俺の妻だ」
「はい!?」
訳がわからず呆然としていた。
「何も両親から聞かされてないのかな?君は俺の許婚で、俺が一人前の男になったら結婚すると決まっていたんだけど」
「そんな事、聞いてませんっ!突然に妻だと言われても……」
突然現れた男性は、私を妻だと言った。
私は携帯を手に取り、父に連絡をした。
「もしもしパパ」
『円じゃないか、元気か?』
「元気かじゃなくて許婚とか妻とか何なの?」
『おぉ、直樹(なおき)君が来てるのか?そうだ、直樹くんは円の許婚で、結婚の許可を出した。直樹くんなら円を幸せにしてくれるから心配するな。お兄ちゃんも直樹くんを認めてるから。それから今日から直樹くんのマンションに住むように。結婚式は3ヶ月後に予定しているし、円の会社の社長にはパパから寿退社をするように頼んだから、もう行かなくていいから』
言いたい事を言ったパパは電話を切った。
突然の事に戸惑う私に男性は言った。