旦那様は甘くて意地悪



「昔は昔だし、それよりも今の俺を見て欲しいし結婚式までに好きになってもらうから。俺は円に一目惚れをしたけど、円と結婚する為に俺は頑張ってきたんだ。絶対に円を離したりはしないし、離すつもりはないから」


そんな甘い言葉を口にされ、抱き寄せられたら恥ずかしくなり何も言えなくなる。


私達はお店を出て、そのままレストランに連れて行かれた。


でもお腹も空いていて、人目を気にせずに食べていたら旦那様予定の方がクスクスと笑う。


「円ってさ、見た目は地味で控え目な感じだけど、美味しい食べ物を食べると目が輝いてるな。そんな円も可愛いし好きだけど、今から色々な円をしりたい」


そんな風に見つめられて言われてしまうと、何か食べるのが恥ずかしくなる。


そして私は彼に聞きたいことを聞いた。


「あの、本当に私達は結婚するのでしょうか?パパも嘘は言ってるようには見えなかったし、だけど私は恋愛すらした事がないのに、いきなり結婚と言われても困るんです。それに会社も急に行かなくていいと言われてしまって、迷惑が掛かってしまいます。あなたのお名前すら父が言ってましたが混乱していて分かりません……」


「俺の名前は一之瀬直樹(いちのせなおき)。君の働いている支店の本社で副社長をしている。だから君が辞めても本社から人が行くから大丈夫だ」


「えっ、うちの本社の副社長?」


「円は入社して支店の方で働きだしたから分からなかっただろうし、俺は海外支店に居たからね。面接も本社じゃなく支店だっただろ?何で本社じゃなかったか、家の両親に会ったらわかるから」


そうニッコリと笑う。


何だか逃げ場のない結婚のような気がする。
それにニッコリ微笑まれると何故か胸がドキドキするし、分け分からないよ。








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