旦那様は甘くて意地悪
食事をした後は直樹さんのマンションへと向かった。
「今日からここが俺達の新居だ。俺も親父から昨日に突然ここに住むように言われたんだけど、家の親からの結婚のお祝いらしいこのマンション」
「そ、そうですか……でも何故会ったことがないのに直樹さんのご両親は私との結婚を認めてくださるのでしょうか?」
「じゃあ会ってみる?会ったら納得するんじゃないかな?」
そう言って直樹さんは携帯で誰かと話し出した。
そして私は何もする事なく一時間、ソファーに座っていた。
直樹さんは仕事があるからとパソコンをじっと眺めている。
何だか落ち着かないけど、どうしていいのかわからずにソファーに座るしか出来なかった。
さっき部屋を見たら、私の荷物がちゃんとあった。
やっぱりここに住むみたいだし、どうしたらいいんだろ。
そんな事を考えていると、玄関の扉が開いた。
「勝手に上がるわよ」
女性の声がしてリビングの扉が開いた。
「円ちゃん久しぶり」
そう言って私に抱きついてきたのは、私の両親と仲良くて、たまに家に遊に来ていたから覚えている。
「えっ、美奈(みな)さん?」
「やだぁ、もう美奈さんじゃなくてお義母さんでしょ!ねっ、パパ」
「円ちゃん久しぶりだね」
「えっ、どう言う……」
そこで直樹さんが美奈さんを私から引き離して説明をしてくれた。
「この二人はうちの両親だ」
「へっ、両親!?」
「円ちゃんは直樹と会ったことなかったから分からなかったと思うけど、円ちゃんが生まれた時に、私達夫婦と円ちゃんのご両親で大人になったら二人を結婚させようって決めてたの」
美奈さんは嬉しそうに言う。