王宮メロ甘戯曲 国王陛下は独占欲の塊です
「そうだわ、これからは協力していきましょうよ。お互い、ひとりで考えちゃうから良くない方向に悩んじゃうのよ。これからは時々こうやってギルのことを相談しあいましょう。それから、ロニーの前でギルが私に甘え過ぎてくることがあったら、今度はあなたからも注意してあげて。私ひとりじゃ手に負えないこともあるから。それが、罰の代わりよ」
リリアンが明るい声でそう提案すると、ロニーは「本当にそれでよろしいのですか?」と目をしばたたかせた。
「もちろん」と自信満々にリリアンが頷く。部屋の雰囲気が、ようやくすべて明るく晴れた気がした。
「分かりました。これからは協力しあっていきましょう。どうぞよろしくお願いいたします」
目を細め手を差し出してきたロニーを見てリリアンは気がついた。そう言えば王宮に来てから今日まで、彼のこんな安堵した表情を見ていなかったと。
七年前、モーガン邸にいた頃のロニーはもっと穏やかでくつろいでいた顔をしていた気がする。目の前のゆったりと微笑む彼を見て、ようやく本当のロニーに会えたような気がした。
「こちらこそよろしくね。ギルのために一緒に頑張りましょう」
握り返した手は、骨ばっていて硬く男らしかった。きっとこの手でずっとギルバートを守り続けてきたのだろう。
ロニーの悲しいほど崇高な忠誠心が伝わってきた気がして、リリアンはもう彼のあやまちを責めることは出来ないと思った。