王宮メロ甘戯曲 国王陛下は独占欲の塊です
「……泣かせてるのは、いっつもギルじゃない」
「うん、そうだね。これからはもっともっと優しくしてあげるから」
そう言ってギルバートは涙をぬぐっていた手で頬を包むと、リリアンの顔をゆっくりと振り向かせた。
間近で空のように青い瞳と視線が絡まり、見つめ合ったままキスをした。
(——ギル、大好き)
彼の青い瞳はいつだってリリアンを求めている。透き通るような純真さの中に、手が付けられないほどの執着と渇望を宿して。
そんな彼の青が、少しだけ満ち足りたように幸福に輝いていた。
「ギル……愛し——」
唇を離したリリアンが紡ごうとした言葉を、ギルバートが人差し指を押し付けて止める。
「僕から言わせて」
天使のような優美さと大人の蠱惑さを湛えた笑みで、ギルバートは告げた。
「愛してる、リリアン。僕の、僕だけのエデン。一生離さないけど——いいよね?」
彼らしいプロポーズの言葉に、クスリと温かな笑いが込み上げる。リリアンはギルバートの甘えたお願いにはめっぽう弱いのだ。断れる訳がない。
「もう、仕方ないわね。私こそ、一生ギルから離れてあげないんだから」
どちらともなく引き寄せあった身体が、硬く抱きしめ合う。
そのぬくもりにかけがえのない幸福を感じて、リリアンはもう一筋、涙を頬に滑らせた。