王宮メロ甘戯曲 国王陛下は独占欲の塊です

「ミレーヌ様。私はあなたとの約束を果たすために今日まで生きて参りました。そして今、その任を全うしたことを、心から光栄に思います」

本懐を遂げた想いに満ち足りて、ロニーの顔には静かな喜びが滲む。

そのときふと、頭の中に以前リリアンが言ったことがよぎった。

『自分で自分の幸福を願わなくちゃ、生きてる意味がない』。

思い出して、小さく笑う。自分は充分、自分の幸福を願って生きていたのだと気づいて。

やはりミレーヌとリリアンはどこか似ているのかも知れない。掛け値なしに他人の幸福を願える慈しみの心は、尊く王妃に相応しいものなのだから。


ロニーはもう一度深くこうべを垂れると立ち上がってその場を去ろうとして、隣に掛かっているギルバートの肖像画に目を留めた。

「……描きなおさせた方がいいな」

飾られたときは凛然とした良い絵だと思ったけれど、改めて見ると冷たさを感じる。

あの頃は過酷な争いの中にいたので仕方ないかもしれないが、今のギルバートの雰囲気からはかけ離れている気がした。

ロニーは回廊を戻りながら考えた。国王の肖像画はもっと穏やかで幸福な表情を描いたものがいい、と。

その方が隣のミレーヌの肖像画にも、いずれギルバートの隣に飾られるリリアンの肖像画にも、似合うような予感がした。










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