王宮メロ甘戯曲 国王陛下は独占欲の塊です
「……っ!! ギ、ギル……!?」
寝ぼけていた頭が一気に目覚めた。リリアンは身体を飛び起こさせようとしたが、なんとギルバートの腕がしっかりと腰にまわされていて身動きが取れない。
「ちょっ……? な、なんで!? ギル! 起きて、ギル!! 離して!!」
リリアンはギルバートの身体を力いっぱい揺り動かした。すると、ギルバートは眠たそうに身じろぎしたあと、瞳をゆっくりと開いた。目の前の麗しい顔が寝起きの無防備な表情を浮かべ、リリアンは胸をドキリと跳ねさせる。
「……ああ、リリー。おはよう……」
「お、おはようじゃないでしょ! なんであなたがここにいるの!?」
うろたえるリリアンとは対照的に、ギルバートはのんびりと身体を起こすと大きなあくびをしてから伸びをした。
「なんでって、一緒に朝食を摂ろうと思ってリリーを起こしに来たんだよ。でもリリーなかなか起きないから、そのうち僕も眠くなっちゃって……ちょっと一休みしただけさ」
王宮とは、国王とは、こんなにも自由奔放なものなのだろうか。常識から逸脱している彼の行動に、リリアンの寝起きの頭がクラクラとしてくる。
「あ、あなた王様なんでしょう!? もう小さい子供じゃないのよ! 勝手にレディの寝床に入って来るなんて——」
顔を真っ赤にしてリリアンが喚きたてていると、ギルバートはキョトンとした表情を浮かべたあと、再び彼女の身体を腕に捕まえてそのままベッドへ倒れ込んでしまった。
「だって、久しぶりにリリーの寝顔見たら一緒に寝たくなっちゃったんだから、仕方ないよね。リリー、相変わらずいい匂いするし、それに昔よりもっと柔らかくなってすごく気持ちいい」