王宮メロ甘戯曲 国王陛下は独占欲の塊です
晩餐後に室内着のドレスに着替えたときに、手袋は脱いでしまった。素肌の手を指先で撫でられて、リリアンは疼くようなくすぐったさを感じてしまう。
「ちょっと、ギル? 何してるの?」
「んー、ちょっと疲れてきたから癒されようと思って」
飄々と言ってのけた彼に、やはりここに呼ばれたのは息抜きの戯れのためだったのだなと実感する。
今朝の度を過ぎた悪戯に比べたら手を握られるぐらい可愛いものだと思い、リリアンも「はいはい」と戯れに彼の手を握り返した。ところが。
「あと——消毒、かな」
「え?」
いきなり意味の分からないことを言ったかと思うと、ギルバートはリリアンの手を強引に引いて口もとへ持っていき、そのまま甲へ口づけを落とした。
突飛な行動に訳が分からず、リリアンはポカンとしてしまう。
しかもギルバートはそれだけでは済まさず、何度も甲にキスを綴ったかと思うと指にまで舌を這わせてきた。
「……っ、ちょっとギル……! 何してるの!?」
焦って手を引こうとしたけれど、強く掴まれてしまって叶わない。
ギルバートはリリアンの細い指にねっとりと舌を這わせ、さらには口に含み軽く吸い上げた。
そのなまめかしい舌遣いに、リリアンの身体に冷たい熱が走る。ビクリと背筋が震えたあと、「あっ……」と艶っぽい吐息が零れてしまい、慌ててもう片方の手で口を押さえた。
そんなリリアンを、ギルバートは机越しに上目遣いで眺めている。