王宮メロ甘戯曲 国王陛下は独占欲の塊です
「ちょっ……!」
ふたりで浸かるには少し小さいバスタブの中で、ギルバートは向かい合ったリリアンの身体をぎゅっと抱きしめてくる。
濡れた服越しに身体が密着して、なんだか妙な感触だ。
「は、離して、ギル……!」
必死に彼の身体を押しやろうとするが、広い肩も硬い胸板もビクともしない。男と女の力の差を痛感して、なんだか気持ちが落ち着かなくなる。
「一緒に入ると気持ちいいね、リリー」
それなのにギルバートときたら、まるで甘えっ子だ。向かい合って座った姿勢のまま両腕でリリアンを抱きしめ、長い脚でまで身体を挟みこんでいる。いつの間にか大きく逞しく育った身体にすっぽりと包まれて、リリアンは身動きがとれない。
「気持ちよくなんかない……っ、服がびしょびしょで気持ち悪いわ」
だから早く離して欲しいと訴えたつもりだったのに、ギルバートは彼女の失言を美味しく弄ぶ。
「じゃあ脱いじゃえば?」
言うが早いか、リリアンを抱きしめていたギルバートの手が後ろから彼女の髪留めを抜く。綺麗にまとめてあった栗色の髪が解放され、ファサリと背に落ちてきた。
そして彼の手はそのままリリアンの後頭部を押さえて、「やめて」と言おうとした目の前の唇をキスで塞いだ。
「——っ……! ん、ん……っ!」
丸く愛らしい菫色の瞳が、驚愕に見開かれる。
ギルバートの舌は動揺しているリリアンの唇の中に強引に侵入し、彼女の小さな舌を見つけてねぶってきた。
キスなど幼い日にギルバートにされて以来だったリリアンは、驚きのあまり混乱に陥る。やめて欲しいのに身体が硬直して動かず、口内をされるがままだ。