王宮メロ甘戯曲 国王陛下は独占欲の塊です

まるで絡めることを強要してくるかのように、ギルバートはリリアンの舌に舌を押しつけてくる。なまめかしいくすぐったさから逃れたくて舌を動かせば、皮肉にもそれが舌を絡め合うかたちになってしまった。

「……ん、ぁ……、や、ぁ……っ」

ぴちゃぴちゃと聞こえる水音が、湯船から聞こえてくるのか自分の口内から聞こえてくるのか分からない。いや、分かりたくなかった。自分がギルバートとこんな淫らな口づけをしているだなんて、自覚したなら恥ずかし過ぎて頭がどうかしてしまうと思った。

再会してから毎日彼と接し、もう大人だと分かっているのに、リリアンがギルバートに抱く印象は未だ可愛い少年のままだ。

けれど、飢える獣のようにリリアンの舌をねぶり、吸い、唾液を絡ませてくるキスはあまりに雄々し過ぎる。逃がさないとばかり頭と背を押さえてくる手は大きくて、少し怖いぐらいに力強い。

記憶の中の天使のような少年と、今自分に激しく口づけている男の姿が頭の中で上手に重ならず、どうしてかそれがリリアンの鼓動をますます逸らせた。

温かい湯に浸かっているせいか、それとも胸が限界までドキドキと脈打ってるせいか、頭がクラクラとしてきた。なんだか上手くものごとが考えられない。

けれど、胸に感じた感触に、リリアンは一瞬で我を取り戻した。

「や……ん、んん……っ、んぅ……っ、だ、め……!」

顔を逸らしギルバートの唇から逃げながら、なんとか拒絶を訴える。

リリアンの頭を押さえていたはずの手は、いつの間にか彼女の胸の丸みを撫でていた。華奢な身体に乗ったみごとな膨らみの形を堪能するように、掌全体で包むように撫でている。

「やだっ……、やだ! ギルやめて!」

渾身の力でギルバートの身体を押し離した。なりふり構っていられない。リリアンは彼にぶつかろうとバスタブにぶつかろうと構わず、ジタバタと手足を動かした。
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