王宮メロ甘戯曲 国王陛下は独占欲の塊です
そこまで考えて、リリアンは額に汗を掻くほど動悸が早まってしまった。ギルバートがリリアンを愛していると知ってしまった以上、その行為は汚らわしい情欲ではなく、自然な欲求に思える。果たしてそのときが来たら、自分はそれを受けいれるべきなのか、拒むべきなのか。
ギルバートが情熱的に見つめ、大きな手で身体を撫でてくる姿をうっかり想像してしまって、リリアンの頭はついに沸騰してしまった。
「駄目! こんなの眠れない!」
極限まで鼓動を走らせてしまったリリアンはベッドから飛び起き、窓を開けて夜風に火照った顔を晒した。
社交界デビューをしていない彼女に、恋や異性の話をするような友人はいない。領地には年の近い子供はいなかったし、侍女や教育係もそんな話をする前にいなくなってしまった。
恋愛に関してまったく無知なリリアンにとって、ギルバートとの恋は刺激的すぎる。相手はこの国の頂点に立つ男性で、魅力あふれる容姿を持ち、リリアンを溺愛しているのだ。いつだってそばにいたがって、ふれたがって、すでにキスまでしてしまった。恋愛初心者のリリアンが手に負えないのも仕方ない。
今の気持ちにくらべたら、幼い頃ロニーに憧れて背伸びしようとしていた気持ちのなんと可愛らしいことか。ふと昔のことを思い出して、リリアンは苦笑してしまった。
そのとき。
扉の外で何か物音が聞こえた気がして、リリアンはハッと振り返った。