テトラポットの上、ふたりぼっち。
「ほーや、のうのう桃子」
「なんや?」
「あのさ、これ一緒に行かへん?」
そう言ってポケットの中から何やら紙を取り出した。
第××回 花火大会
「花火大会?」
「ほやほや、行かへん?」
「いつや、これ」
「8月28日やな」
「……」
「行けん?」
行けないわけじゃない。
しかも寧と行くなら行かない理由がないじゃない。
でも……
お別れするのに辛くなる。
少し、考えて私は
「考えとくな、その前に海祭のやらんとやろ」
そんな、曖昧な答えで返すしかなかった。
「いい返事待っとるでの」
そう言ってニカッと笑った寧にいつまでも甘えるわけにはいかないんだ。
「はいはい、ほな、はよ終わらせんとな」
「せやな!」